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Iron Man 3 アイアンマン3

アメリカ映画 (2013)

ヒーロー物の映画の中では、絶大な人気と、高い評価を得ているアイアンマン・シリーズの3作目で初めて子役が登場した。タイ・シンプキンス(Ty Simpkins)である。脇役とはいえ、2170行ある英語字幕の中でタイと主役のロバート・ダウニー・Jr(Robert Downey Jr.)の絡むシーンは213行あり、全体の1割に相当する。戦闘シーンが大半なので、恋人のペッパーとのシーンを除く静かな会話シーンのほとんどを担う重要な役柄である。そして、『インシディアス』のような役よりは、この映画や『ジュラシック・ワールド』の方が、性格に合っていると思う。

『アイアンマン3』は、遺伝子操作による人体組織の再成長と強化を武器に合衆国の乗っ取りを狙うキリアンと、最新の意志操作による分離着脱式パワードスーツ・マーク42との戦いである。タイ・シンプキンスに関連のある部分を見ていくと、超高温の摂氏3000度強での爆破事件を、人工知能ジャーヴィスを相手に調べていたアイアンマンことトニー・スタークは、過去にテネシー州のローズ・ヒルで起きた事件に注目する。その直後、トニーの豪邸は襲撃で破壊され、トニーもかろうじて脱出し、ローズ・ヒル郊外に向かう。そこで、タイ演じるハーレーに会う。傷んだスーツを修理しながら過去の事件を調べ、キリアンの実像に迫ろうとするトニー。そして、スーツなきまま、ハーレーの助言に沿って自作の武器で敵の本拠地に侵入するトニー。タイは、台詞はないが、その後2回、計5回のシーンに登場する。

タイ・シンプキンスは、目が大きくて可愛い子役だ。このようなアクション大作では感情表現を出せる場はほとんどないが、それでも殺伐としたシーンが続く中で、違和感なく安らいだシーンを生み出すのに成功している。


あらすじ

トニーは、人工知能ジャーヴィス相手に、腹心の部下ハッピーを巻き込んだ爆破テロの分析をしている。爆発時の温度は3000℃を超える。鉄の融解温度が1500℃なので相当の高温だ。さらに、1年以内に起きた類似の熱パターンの事件は、テネシー州ローズ・ヒルで起きたチャド・デイヴィスによる爆弾自殺しかないことが分かる。そこで、人工知能はテネシー州への飛行プランを立てる。この場面のCG効果は美しい。その時、悪役キリアンの命令で、トニー邸に戦闘ヘリ3機が接近、ミサイルを発射し激しい攻撃を加える。崩壊する邸宅。
  
  

マーク42を呼び寄せたトニーはからくも海中に脱出、そこから人工知能の指示でテネシー州へと向かう。しかし、このマーク42は試作品で、目的地の手前8キロでパワーが5%以下になり、道路際の雪の森に滑落してしまう。人工知能ほ方も、邸宅が損壊したことでダメージを受け、スーツが動かなくなる。仕方なく、スーツを引きずりながら町へ向かって歩くトニー。
  
  

最初に見つけた小屋に入り、マーク42を横たえる。その時、いきなり「フリーズ」「動くな」の声。ポテト銃(圧搾空気で発射する手作りの銃)を構えたハーレーだ。「銃身が長すぎで、口径も大きい。発射速度が落ちる」とトニー。ハーレーは見事な射撃を見せるが、「もう弾はないぞ」。相手が子供でも、武器は使えなくするのがトニーの鉄則だ。改めて興味を持ったハーレー。トニーの胸の光に気付く。そしてマーク42の存在にも。「すごい」「それって、アイアンマン?」。「厳密に言うと、私だ」。「厳密に言うと、死んでるね」と言って『スターク 死亡か』の一面記事を見せる(この“Technically”の応酬は面白い)。「スーツ、どうしちゃったの?」。「作ったのは私だから、直せる」。「整備士みたいに?」。その後も。「僕なら、ここに回帰…」。「回帰反射板か?」。「ステルスにしたいから」。「ステルス?」。「クールでしょ」と2人の相性はいい。トニーは、「欲しいものがある。ラップトップ、デジタル時計、携帯、圧搾空気入れ、町の地図、大きなバネ、ツナサンド」。「見返りは?」とハーレー。「救いの神だ。奴の名は?」。「奴って?」。「学校で君をイジメてる奴」「いい物をやる」「強力な武器だ」「顔を背けてボタンを押すと、イジメはなくなる。非致死性で、バレない。どうだ?」。結局、秘密兵器をもらうことで合意する。
  
  

ここで、2人とは関係のない短いシーンが3つ入る。そして、再びテネシー。ハーレーが渡した中に、6才の妹の漫画付きの時計がある。「もうちょっと大人向きのを期待してた」と言うトニーに「限定品だよ」と反論。トニーは、本来の目的である自爆現場まで行き、町での噂話を訊く。勲章を一杯もらった軍人の発狂と自爆、それに、5人の巻き添え死だ。壁に残された高熱による“影”が5つしかないことについては、「みんなは、魂が天国に召された証拠だと言ってる。爆弾男は地獄に行ったから影はないんだ。だから5つだけ」とハーレー。そして、話をニューヨークに向ける。トニーが『アベンジャーズ』のラスト・シーンで、異空間からのエイリアンの侵入を止めるために戦った時のことを知りたかったのだ。しかし、トニーはこの時の体験で一種のパニック障害にかかっていて、話がそちらにいくと呼吸困難になるのだ。「ストレス障害?」。「違うな」。「精神を病んじゃったの?」「もう質問しない方がいい?」。トニーがこんな風に迷惑がるシーンも面白い。とにかく、自爆犯の母親の居所は教えてもらえた。
  
  

母親の行きつけのバーで、トニーは、勘違いされて自爆犯のファイルを手に入れる。それを奪取しようとする遺伝子操作された改造人間と壮絶な戦いをくりひろげるトニー。町のシンボルの給水塔がトニー目がけて倒され、間一髪で逃げる。
  
  

そこに改造人間がハーレーを捕まえてやってくる。「放せ!」。「クリスマスに欲しいものを言ってみろ」と変なことを訊く改造人間。「スタークさん、ごめんなさい」と捕まったことを謝るハーレー。すると改造人間が、「違う、違う、“おばさんのファイルを下さい”って言うんだろ」。トニーに渡ったファイルが欲しいのだ。ここでトニーが、「いじめっ子のこと 覚えてるか」と言い、ハーレーは秘密兵器を使って逃げる。一方、ファイルを手に入れたトニーは、スーツの番をしながら電話を待つよう命じて、車で町を出て行く。恨めしげな表情のハーレー。
  
  

この後、いくつか挿話のあった後で、トニーは、改造人間と軍需産業エイムとの関連に気付き、ログイン・パスワードをローズ大佐から訊き出し、無線ランのできそうなバンを見つけて情報を引き出す。そして、ジャーヴィスに調べさせようとハーレーに電話する。ハーレーはキャンディを食べ続けて、寝ずに待機していた。「眠くないか?」。「何とか」。「なら大丈夫だ」。そして、ジャーヴィスに、エイムの下り回線から拠点の場所を調べさせる。「極東、ヨーロッパ、北アフリカ、イラン、パキスタン、シリア、どこだ?」。「マイアミです」。一瞬信じられないトニーは、ハーレーに画面上で確かめさせる。やはりマイアミだ。これなら行ける。しかし、マーク42は電源に問題があり、パワーゼロで起動には時間がかるとの返事。スーツなしでは何もできないと困惑するトニー。ハーレーは、「整備士なんでしょ?」「そう言ったよ」。「そうだ」。「じゃあ、何か作ればいいじゃない」。この意見にハッとするトニー。しばらく考えて、「分かった。ありがとう」。そして、スーパーに行って必要なものを山ほど買い込み、いろいろな武器を作り始めた
  
  

かくして、敵の本拠地に乗り込み、テロリストに扮した役者を発見したところでトニーは捕らえられる。一方、マーク42の充電は完了、最初に右手が窓を突き破って飛んで来る。そして右足も。残りは、倉庫を出られなくてバタバタしているのをハーレーが気付き、解放してやる。飛び去っていくパーツを見送るハーレー。
  
  

その後、映画のクライマックスとなる大戦闘シーンがあり、無事すべて終わったあとのラスト・シーンの最後から2つ目、スクールバスから降りて倉庫に入るハーレーが映る。ドアを開けると、そこは全くの別世界。トニーから贈られたマニア・グッズで埋め尽くされていた。「ポテト銃 マークⅡ、君の友、整備士」という札付きで(カードの右に巨大なバズーカが映っている)。狂喜するハーレーの顔のアップで、最終シーンに移行する。
  
  

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